チャイロヒゲビロウドカミキリ

Acalolepta kusamai Hayashi

体長|17~29ミリ

時期|6~7月

レア度|★★★★☆

RDBカテゴリー|なし

環境|森林・林縁・緑地・公園

分布|本州・九州・伊豆大島・屋久島

1. 2010.07 神奈川県

2. 2010.07 神奈川県

3. 2010.07 神奈川県

4. 2010.07 神奈川県

5. 2009.06 神奈川県

6. 2009.06 神奈川県

7. 2009.06 神奈川県

8. 2009.06 神奈川県

9. 2009.06 神奈川県

10. 2009.06 神奈川県

11. 2009.06 神奈川県

12. 2009.06 神奈川県

13.加害されたニワトコ

14.加害されたユズリハ

触覚の第一節が大きく膨らんでいるのが特徴的な大型のビロウドカミキリ。ニワトコ・クサギ・ユズリハ等の生木に集まる。一度は幻の存在と言われる程までに激減してしまったが、ユズリハという新しいホストが判明した事で、各地で再発見された。夜行性で、日中は食樹の枯葉などに潜んでいるが、夜間は樹幹を歩き回って交尾・産卵したり、大きな羽音と共に飛来する姿が見られる。分布は局地的だが、生息地での個体数は多く、1本の木に10個体以上が集まっている事もある。1本の木に集中して激しく加害するため、本種に加害された木はボロボロになって、やがて枯れてしまう。(写真1・5~11はニワトコ、写真2~4・12はユズリハにて撮影。)

2008年頃、ネットではチャイロヒゲビロウドカミキリ(以後チャイロヒゲ)がちょっとしたブームになっていた。あっちこっちの昆虫ブログやホームページに登場し、話題にのぼっていた。なんでもチャイロヒゲというのは以前は普通に見られた種らしいのだが、いつの間にか数が減り、今ではほとんど見られなくなってしまったのだとか。そんなチャイロヒゲが何故、今になって話題になっているのかと言うと、ユズリハという新しいホストが判明したことで、最近また採れはじめている...と、ネットで見た限りではそんな感じらしい。実はこれまでチャイロヒゲなんていう種がいる事自体知らなかったのだが、ネットで見つけた生態写真を見た瞬間、本種を撮りたいという思いに火がついてしまった。夜間、加害木で交尾するチャイロヒゲ。なんとも良い雰囲気ではないか!

 

しかし、興味を持った時は既にチャイロヒゲのシーズンを過ぎており、来年まで待たなければならなかった。そこで、来シーズンに備え、前もってポイント捜しをしておく事にした。ネットの情報によると、公園なんかに植えられているユズリハで見つかっているらしい。そんな訳で、気になる公園やら緑地やらを順次回って、ユズリハ、そして食痕や羽脱孔がないかを見て回った。その結果、何ヶ所かでユズリハを発見。しかも、そのほぼ全てでチャイロヒゲと思われる痕跡を見つける事が出来たのである。また、図鑑によるとニワトコもホストの1つという事なので、一応ニワトコもチェックしておいたのだが、見つけたニワトコの殆どが何かしらの昆虫による激しい加害を受けていたのである。ただその食痕はユズリハはのものとは雰囲気が違っていたし、そもそも以前から知れているニワトコで見つかるなら、今話題になる事も無い訳だから、ニワトコの食害は何か別の昆虫によるものの可能性が高いと思われた。何はともあれ、ポイント候補となりうる場所は見つける事が出来たので、シーズンが来るのを楽しみに待ったのである。

 

そして来たる翌6月下旬。待ちに待ったチャイロヒゲのシーズンが到来。決行はもちろん夜間!狙うは交尾写真!お馴染みNさんと共にポイントへと向かった。まずは大本命、間違いなく本種に加害されていると思われる若いユズリハである。ゆっくりと懐中電灯でその樹幹を照らしていき、光を根元のほうに向けた時である。「いた!」「でかい!」「交尾している!」それはまさに思い描いていたイメージそのものであり、興奮のあまり思わず叫んでしまった。すると、事もあろうか、驚いたチャイロヒゲはポトリと落下してしまったではなか!あああ、なんという事だ!やってしまった...。(このパターン何度目だろう...汗)ビロウドカミキリの警戒心の強さをすっかり忘れていた。千載一遇のチャンスを逃してしまい、激しく落ち込んだ。次のポイントへ向かう途中、何度ため息をついたか分からない。

 

交尾写真を撮り損なったショックを引きづりつつも、次のポイントに到着。 次のポイントはユズリハとニワトコの両方がある場所。まずは期待が薄いニワトコのほうを見てみる事にした。このニワトコは何者かによってかなり激しい食害を受けており、幹はボロボロであった。これがチャイロヒゲによるものだといいのだが、正直、全く期待はしていなかった。 懐中電灯で幹を照らすが、何も見当たらない。やはりこの加害は別の昆虫によるものだったか...。そう思った次の瞬間、Nさんが声を上げた。「いた!交尾してる!」「本当に!?」 と、次の瞬間、「上にもいる!」 「うわ、ここにもいる!」チャイロヒゲとニワトコの幹の色が似ていた為、最初は気がつかなかったのだが、よく見るとあっちこっちにくっついてるではないか! 木の上のほうからは「ブーン」という大きな羽音も聞こえてくる!なんだニワトコにもちゃんと来るんじゃないか!大興奮であった。結局このニワトコでは10数頭のチャイロヒゲを確認する事が出来たのである。

 

更に近くのユズリハ。こちらでも複数のチャイロヒゲを確認!ここでも交尾している! 更に車で移動して別のポイント。ここのユズリハとニワトコでも複数確認!なんと下見をしておいた全ての木でチャイロヒゲを確認する事が出来たのである。「もしかしたらチャイロヒゲって普通種なんじゃ? 」「珍品ではないよね...」何はともあれ初めて見るチャイロヒゲ、それも念願の交尾写真を撮影出来たのは嬉しい限りである。それにしてもチャイロヒゲ、想像していたよりずっと大きくて立派なビロウドカミキリであった。触覚のコブも魅力的だし、大型のオスは触覚も長くてカッコいい。これは良いカミキリムシだ。