マークオサムシ

Carabus maacki Morawitz

体長|25~34ミリ

時期|-

レア度|★★★★★

RDBカテゴリー|VU

環境|泥炭地・湿地・水田・休耕田・池沼・河川敷

分布|本州(北東部)

1. 2008.12 青森県

2. 2008.12 青森県

3. 2008.12 青森県

4.生息環境

上翅の深い点刻と幅の広い前胸が特徴的な半水棲オサムシ。主に東北地方で見られるが生息地はごく限られる。湿地環境に強く依存し、休耕田や河川敷などのかなりぬかるんでいる場所に見られる。半水棲生活に適応しており、水面を泳いだり、水中に潜る事が出来る。小型の巻貝やカエル・オタマジャクシ等を捕食するという。冬期は水際の土中や朽木中で越冬し、半分水没しているような朽木中でも平気で越冬している。かつては東北地方に広く生息していたが、護岸化や宅地開発などにより、生息地は激減してしまい、絶滅危惧Ⅱ類(VU)にも指定されている。

青森県には本種が多産するという安定的な生息地がある。詳しいことは何も知らないが、「ここに行けばマークオサムシ(以後マーク)に会えるかもしれない...」という安易な考えのもと、2008年冬、無謀ともいえる青森遠征は突如として決行された。Nさんは最初、この無謀すぎる挑戦に参加する事を拒んでいたが、直前になって同行することを決意した。Nさん曰く、「私だけ置いていかれる(マークを先越される)辱めをうけるわけにはいかない」とのことだ。

 

結果として、Nさんが来てくれて本当に良かった。というのも、決行当日は雪が降りしきり、風が吹きつける最悪の天候。完全に吹雪。更に生息地である河川敷のアシ原は思っていた以上に広大で、アシは自分の背丈よりも高く生い茂り、少しでも足を踏み入れようものならたちまち方向感覚を失う状態。オマケに足場も悪く、ぬかるみに足を取られ、点在する水たまりは時として深くて行く手を阻み、折れたアシにより長靴にはたちまち穴が開いて浸水...。1人では生命の危険すらも感じる過酷すぎるフィールドだったのだ。

 

そして、肝心なマークだが、朽木さえ見つけられればこちらのものと思っていたのだが、まず、その朽木を探し出すというのがとにかく大変で、ぜんぜん見つからない。ようやく朽木を見つけ出しても、越冬に適した条件ではないのか、アカガネオサムシは出てきても、マークが一向に出てこないのだ!多産地とはいえ、やはりマーク、そんない甘い虫ではないと思い知らされた。

 

それだけに、広大なアシ原をさ迷い歩いて、ようやく見つけ出した大きな流木から、マークが姿を現した時の喜びと言ったらない。今までの疲労が一瞬にして吹き飛んでしまい、夢中になって撮影した。(この流木はよほど越冬の条件に適していたのか、複数個体が越冬していた。)宿に戻ってからその日に撮影した写真を眺めてる時間は至福の一時で、遠征の醍醐味の一つである。