クリストフコトラカミキリ

Plagionotus christophi (Kraatz)

体長|12~16.9ミリ

時期|3~8月

レア度|★★★★☆

RDBカテゴリー|なし

環境|森林・雑木林・土場

分布|本州・九州

1.クヌギの伐採木上のペア 2008.05 山梨県

2.クヌギの伐採木上のペア 2008.05 山梨県

3.クヌギの伐採木上の♂ 2007.04 山梨県

4.クヌギの伐採木上のペア 2007.04 山梨県

5. 2007.04 山梨県

6.クヌギの伐採木上のペア 2007.04 山梨県

7.生息環境

8. 2011.05 岡山県

9. 2011.05 岡山県

10. 2013.04 山梨県

丘陵地~山地に生息し、春~初夏にコナラ・ミズナラ・クリ・アベマキ等の薪や伐採木に集まる。場所によってはかなり早く出現し、3月下旬頃から見られる場所もある。生息地はやや限られるものの、生息地での個体数は多く、伐採木上を多数の個体が忙しなく歩き回り、交尾・産卵する姿を見る事が出来る。成虫はよく晴れた日の日中にのみ活動し、それ以外の時間帯は嘘みたいに静まり返っていて、1匹たりともその姿を見る事が出来なかったりする。

ある7月のこと、山梨県某所を訪れた際にみつけた小さな伐採地。そこにはキイロトラカミキリをはじめ、ウスイロトラカミキリやクビアカトラカミキリなど、様々なカミキリが集まっており、それは当時の自分にとってはまさに夢のような光景で、夢中になって撮影していた。そこへ突如として本種までもが飛来したものだから、それはもう狂喜乱舞した。しかし、本種は発生も終盤といった感じで個体数が少なく、満足に撮影する事は出来なかった。


翌年、改めて本種を撮影すべく、今度はよりベストと思われる6月上旬に同じ場所を訪れてみた。幸運にも新たな伐採地があり、これまた多くのカミキリで賑わっていたのだが、何故かそこに本種の姿を見つける事は出来なかった。「ちょっと早過ぎたのか?」そう思い、それから8月上旬まで、何度もその場所に通ったのだが、その年、とうとう本種の姿を確認する事は出来なかった。


翌々年は、「もしかしたら6月でも遅かったのでは?」という考えのもと、5月初旬から足しげく通ってみたのだが、やはり駄目。その翌年以降も、何度となくその場所を訪れる機会はあったのだが、不思議な事にその場所で本種と再会する事は一度たりとも無かったのである。その地のクリストフは完全に幻の存在と化してしまった。


本種とは別の場所で再会を果たしていた事もあり、いつしかその場所のクリストフの存在も忘れかけていた頃、ネットで見つけた本種の写真を見てハッとさせられた。「4月初旬撮影!?」「そんなに早く出ている場所もあるのか!?」「もしかしたらあの場所も!?」それを確かめるべく、4月初旬に再びあの場所を訪れてみた。

 

辺りの木々はまだ若葉も開いていないような状況で、とてもトラカミキリが活動している雰囲気ではなく、いくらなんでも早すぎたと思えた。しかし、どうだろう、伐採木に目をやると、そこには忙しなく歩き回る本種の姿があるではないか!それも沢山!まだ他のカミキリが全くいない伐採木上で、本種だけが運動会を繰り広げていたのである。「そうか、4月か...4月だったのか...」


長期の疑問が解消し、なんとも言えない充実感を得ると同時に、この場所にもちゃんと生息していたのだな、と、妙に嬉しくなってしまった。それにしても、最初に見つけた7月のクリストフは何だったのだろうか?おかげで、この場所で本種と再会するまでに何年もかかってしまったではないか!